電気コードを運ぶ小人

前回の投稿でエアコンの機能の違いによる消費電力の比較を示したが、今回の投稿では別の観点から電力消費を抑えるエアコンの使い方について述べる。

エアコンの付けっ放しと節電効果

夏場にエアコンを稼働し快適な室温になっている部屋から一時的に離れなければならなくなった時、節電のことを考えてエアコンを切ろうか、あるいは戻って来た時に室温が高くなっているのは不快なので付けっ放しにしようか迷うこともあると思う。
この時の判断の分岐点は節電意識の強い人とズボラの人とでは相当違うと思うが、ダイキンの実験によると、以外にもズボラの人の方が電力消費を抑えるエアコンの使い方をしているようである。

実験では、以下の前提条件の下、どれだけの時間内なら付けっ放しにした方がエアコンを切った時より節電効果が高いかを調べている。なお、この実験では、マンションと木造住宅に分けて行われている。と言うのも、マンションと木造住宅を比較した場合、マンションは気密性が高いので部屋を冷やすのに時間が掛からなく、また屋外が暑くても室内は影響を受け難い(暖まり難い)と言う特徴に違いがあるからである。
なお、大前提として気温30℃を超える晴れた日中である。

マンション
  • 前提:14畳の1DK
  • 結果:35分までなら付けっ放しの方が節電効果が高い。
木造住宅
  • 前提:12畳のリビング
  • 結果:5時間27分までなら付けっ放しの方が節電効果が高い。
※木造住宅であっても、曇りの日では結果が大きく異なり、1時間位が分岐点となる。

建物の構造により結果が大きく異なっているが、そのポイントとなるのはエアコン稼働時の電力消費(電気代)の推移にある。
これまで私は、設定により消費する電力に違いがあれど、同じ設定で稼働続ければ電力消費は稼働時間に比例すると思っていた。しかし実際の電力消費は稼働時間に比例するのでなく、設定温度に到達するまでの間が多くの電力を消費される。電力消費の推移は、エアコンを付けてから設定温度に到達するまでドンドン電力消費が上がり、設定温度に到達後はドンドン電力消費が下がって行き、その後は設定温度を保持すれば良いので電力消費は少なく済む。
従って、マンションに比べ気密性の低い木造住宅では、屋外の気温に影響を受け室内温度が上がり易く、かつ冷やし難いことから、設定温度を維持していたエアコンを一旦切ってしまうと室内の温度が上がり易く、再度稼働する時は室温と設定温度との差が大きくなっていて、設定温度に戻すまでに大きな電力を消費してしまう結果になる。

実験結果から、マンションでは細目にエアコンを切る必要がないことが分かったが、驚かされたのは木造住宅である。気温の高い夏場の日中は、殆どの状況に於いてはエアコンを切ろうか悩む必要がなく、エアコンを付けっ放しで良い結果である。
現在、スマートフォンを使って外出先から家電製品を操作するサービスがある。帰宅直前に遠隔操作でエアコンを稼働させ、自宅に着いた時に快適な温度にすることができるとの謳い文句を聞く。でも私自身は電気代がもったいないから、自宅に着いてから冷やせば十分と思う人間なので、必要性を殆ど感じていなかった。しかし、木造住宅の結果を知ると、例えば電気代を抑えるために日中エアコンを敢えて切らずに出かけたが、予定外のことが起こり帰宅が遅くなるとか、外出中に急に曇ってきた時などに、遠隔操作でエアコンを切りたいことがあるなと感じた。

室外機の節電方法

エアコンには本体とセットになっている室外機が存在するが、室外機の機能の1つとして、冷房時に室内の熱を屋外に放出していて、この時に電力を消費する。そのため、室外機が直射日光に当たっていると温度が上がり、効率良く熱を放出できなくなり、電力消費が上がってしまうことになる。また、室外機をカバーで囲んだり、室外機の前に常時物を置いていると、風を塞ぐことになり放出した熱が滞ってしまい、同様に電力消費が上がってしまうことになる。
以上により、節電の観点からみれば室外機は日陰に設置し、物で囲まないようにすべきである。

ただ、室外機の大まかな設置場所は室内に設置するエアコン本体の位置により、必然的に決まってしまうので、日陰に設置するのが困難なケースも多いと思う。それでも私が関わっている賃貸物件に於いて、エアコン本体の設置位置や配管を工夫していれば、室外機を直射日光が当たらない(あるいは、現状より短時間しか当たらない)よううにできたものもあり、今後賃貸物件で新たにエアコンを設置したり、取り替える時には注意したいと思う。