使用済角材のモチーフとデッサン

今回は鉛筆デッサンの個展である。デッサンの個展は2回目となるが1年振りとなり、最近は絵画の練習に全く時間を取れていなかった。
先日、久しぶりにデッサンを描いたので、このタイミングで溜まった10作品を展示することにした。
なお、今回もuniatelier(加藤和彦氏)のYouTube動画を参考にしている。

備忘録

以下に、参考になった師匠の発言等を作品ごとに整理しておく。

「レモン」
レモン

  • ハイライトは置いといて、レモン色は明るいところでも紙の白に比べて若干暗く見える。
  • 黄色は明るいイメージが強いので、陰を付けられない方が多いが、思い切って暗い調子を付けても良い。
  • デッサンは正直に描くことが基本であるが、レモンなど自然物を描く時には個体差があり、レモンらしさを上手く表現できれば若干形が違っていても余り神経質にならなくて良い。
  • 表面の質感は、作者が感じ取らなければ表現するのは難しい。人を真似してもセンサーが違うので、自分のセンサーを磨き自分なりに感じた質感を描いて行くことが大事である。
「南瓜」
南瓜

次のことは南瓜に限った話でない。

  • 土台にモチーフを置いた場合、接地面と床に落ちる影をしっかり描くと、台上に置かれている印象が強く出る。
  • 幾つかの光源がある時、重なっている影は暗く見える。
  • ガーゼを使うと境界がモサモサするので、余り早く使ったり、後々にするのも良くなく、師匠は大まかな陰影の調子を描き、ある程度の光と陰影の境目ができたところで使うとのこと。
  • 向こう側に見えなくなるあたりの稜線を描く時は、終わり方注意。場所によってエッジが立っている風に見えるところ、あるいはエッジがボヤーと後ろに向かって立ち消えになっているところと、それぞれ違う。単調にならないようにする。
  • 光と陰により明暗がはっきり分かれて見えるところは境目になるので、境目を探しその部分に対し鉛筆の立ったタッチを乗せて行く。
「さつま芋」
さつま芋

ネットのさつま芋の写真を元に描いた。写真には影が殆ど写っていなかったので、光源を推測して影を描いた。

  • 野菜等を描く時はその物の特殊な形を描かず、一般的な形にすれば良いとのこと。そこで、一般的なさつま芋らしく、写真には無かった芋の右端に出っ張りを付けた。
  • さつま芋は明るいところでさえ、紙の白さに比べると色が濃い。なので、明るいところも一緒に調子を付ける。
  • 調子付けたらガーゼで擦るが、光の当たっているところは擦り過ぎないように。光の当たっているところは、なるべく鉛筆の発色を見せたいので、擦って紙の目を潰さないように注意。
  • 芋のハイライトは、結構明るめに残しておくよりも最初に暗くしておいた後で、練りゴムで抜く方が薄っすら光沢感のある芋の質感にあっている。微妙な明るさを表現するのに結構役に立ってくれる。
「林檎」
林檎

  • 反省 右矢印 モチーフの林檎の色は赤色だったので、もっと濃い色で描くべきだった。
  • ヘタがあるおかげで林檎らしく見えるので、モチーフのヘタが短ければ短くない林檎を想定して描く。
  • 種の部屋が5カ所の星型になっており、表面にはその方向のところに出っ張りがある。
  • 背景との境界当たりは、タッチが徐々に外側に食み出ていくように(見えなくなっていくように)丁寧にタッチを入れる。
  • 影の輪郭に関しては、実際の影より大きめに食み出すように描いて、その後に練りゴムで境界をぼかしながら形を整えることを勧める。そうすると空間の中にボコっと置かれている感じが出易い。
  • 自分に一番近いところは、手前に出てくる奥行感が必要なので、筆圧も強く、鉛筆を立て、鉛筆の先を使って、コントラストの強い赤色を白黒に直して描く。擦って鈍くなるのでなく、鮮やかな黒になるように描く。
  • ヘタ部分のへこんでいる中の光の当たらないところも、通常の陰と同様に擦る。
「アボカド」
アボカド

  • 鉛筆のプラスの作業だけで仕上げて行く遣り方では、なかなかでない調子もある。それで、実際のトーンよりも一段暗めに鉛筆を載せて、後から練りゴム等で暗くし過ぎたところを明るく戻して仕上げる。
「赤玉ねぎ」
赤玉ねぎ

  • モチーフのシルエットに対し、床に映る影の形がどれ位かを結構早い段階で決めておくと、その後の作業がし易くなる。陰も絵の一部だと思って後回しにしないで同時に描き進める習慣を付ける。
「スプーン」
ステンレススプーン

高級な感じのスプーンを描いてみたかったが、買っても殆ど使わないので100均で手に入れた安物のステンレススプーンである。

  • スプーンの柄の角度の合わせ方は、モチーフの方に鉛筆を当て、そのままの角度で画用紙の方へ持ってくる。慣れないと手を移す時に自分の都合の良いように角度を変えてしまったりするので、角度を決めた状態(ポーズを変えない)で、目を瞑って体を回す(お尻を軸にして回す)。
  • 輪郭線を何度も描き直して先へ進めない方もいるが、調子を付け、陰影をある程度合わせてから、形を比較してみると良い。今合っているかどうかをそんなに気にし過ぎなく、次の段階で合わせるつもりで、少しずつでも近づくようにどんどん直して行けばよい。
  • スプーンは光っている金属なので、つるつるした磨きが掛かっているが、鉛筆で質感を表現するためにガーゼで必要以上に擦る人がいるが、そんなに擦らなくても色々な向きの滑らかなタッチを重ねて行くと、結構質感が出る。紙の目はできるだけ潰さないで、尖らした鉛筆の先を使って鮮やかな黒色をしっかりと定着させていくと結構質感はでる。擦ることだけがツルツルしたものを描く方法ではないので、擦らずに描く方法を工夫すること。
  • 床と柄の距離が離れているところの影はぼやけ、距離が近づくにつれて影の輪郭がシャープになる。
「ボール」
ステンレスボール

  • 楕円は描き始めの段階で、何度も調整しながら印象を合わせて行く。描き始めの段階で何か印象が違うなと思いながら描き進めてしまうと、後で直す時の方が大変になる。
  • ステンレスなので結構反射している。アトリエの中の形とか色とかを反射し写り込んでいる。それを明暗に置き換えて描く。
  • 描き出しの全体の調子を付ける時は、目をつぶる寸前まで細めて、細かい部分は見ないようにして明暗だけを頼りに調子を付けて行くように。この時、細かい部分は全然見えなく、明るいか暗いかが単純化されて見える
  • 描き出しの全体の調子を付ける時は、三調子(明るい、中間、暗い)に分けるが、ステンレスやガラスを描く時は、コントラストが結構強いので、暗いところは思い切って、早い段階でしっかりと暗い調子を入れると印象が合ってくる。
  • タッチの向きは、石膏デッサンでは面の向きに沿ってタッチを入れなさいと結構言われる。しかし、金属とかガラスを描く時は、余りにも表面がツルツルしているためグラデーションの差がさほどないので、タッチの向き(面の向き)が全然感じ取れないところがある。この時、感じ取れないところは、感じ取れないように正直に描いた方が良い。ここはこんな筈だと理論で描いても、絵は余り良くならない(違和感が残る)。
  • 金属やガラスを描く時は、タッチのスピード感が非常に重要である。タッチが速めの方が、金属らしさがでる。食み出ても気にせず、線がそこでいじけないように先まで気持ちを続け、後で練りゴムで整えればよい。
  • 同一濃さの不思議な形の塊があるので、その形を想定して描いて行くと良い。写り込んでいるもののトーンに置き換えた形を正直に描く(例えば自分が写っているからと言って、人と分かるように描く必要なし)。そうすると迷いが少なくなる。
  • ハイライトのように明るく見えている理由は周りに暗い色があるから。よって、ハイライトの周りには暗い色も積極的に入れて、ハイライトが光って見える工夫をする。
「使用済角材」
使用済角材

ホームセンターには新品の角材しかないだろうし、ネットで使用済角材の写真を捜したが手頃なものは見つからなかった。そこで、倉庫のガラクタを捜してみたら手頃な使用済角材が見つかったので、それをモチーフにした。なお、縦のひび割れはなかったが、想像で追加した。

  • 長めの垂直線や水平線を描く時は、手首や肘を固定しで描く描写でなくて、肩から大きなストロークで動かした方が印象を合わせ易い。
  • 木製のものを描く時は、表面が鉋掛けしてあるのか、切ったままなのかの材質感を意識して質感を描き分ける。
  • 一番暗く濃く見えているところは、自分に一番近いところの角である(陰の左側面の右上端あたりの面の境界とその周り)。鉛筆を立てながら、先を使って少し強調する。
  • 自然物を描く時は特徴を上手くだせるのであれば、形状を少し変えるとか位置を変更するとか、デフォルメすることは良いことである。
  • 木目も全体感を壊さない程度にする。木目だけ目立ち過ぎても柱って感じがしないので、ちょうど良い程度に木目を描きいれて行く。
  • 一体今どの木目を描いているかはちゃんと見るようにする。20,30本程度だったら、数えてそれを描いた方が、結局効率が良くなる。
  • 木目は見てちゃんと分かったところだけ、ゆっくり動かして描いて行く方が、余計なタッチが入らない分、作業量が少なくて済む。分かっていないのに描いてしまうと後で邪魔になって消すはめになる。
「狐のお面」
狐のお面

ネットで購入した紙で作られた狐の白いお面である。
自宅に石膏像がない人向けの勉強法で、真白に何も模様のないお面だと、石膏デッサンに近い感じで明暗だけで対象の立体感を捉え易いとのこと。

余談
冒頭のアイキャッチ画像を作成して初めて知ったが、モチーフにした角材をデッサン時の視点と同様な位置から写真に撮ったのに、写真では「三点透視図法」で描いたような形になる。なぜ、そうなるんだろう?

My Art Gallery

今回は鉛筆デッサンの10作品を展示する。