老朽空家

今年(2023年)中に施行されることになった改正空家対策特別措置法(以下、「改正法」と言う。)により、空家を適切に管理していないと、その用地の固定資産税が最大で6倍になる可能性がでてきたので注意が必要である。

実は2015年から施行されている空家対策特別措置法に於いて、「特定空家等」と言う著しく劣悪な空家には、用地の固定資産税が最大6倍になる措置(「住宅用地の軽減措置」が受けられなくなる措置)が実施されていた。ただ、改正法により特定空家等まで陥っていなくても、「管理不全空家等」と言う適切な管理が行われていないために、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれがあると判断されれば、特定空家等と同様に住宅用地の軽減措置が受けられなくなり、用地の固定資産税額が最大で6倍になることになった。
また、今回の改正法により行政が空家に対し、より積極的に関与できるようになる。
以上から、固定資産税を上げないためだけに空家を解体をせず放置状態にすることは、より難しくなる(あるいは得策でなくなる)。

参考までに、もう少し税額アップについて補足しておく。
  • 固定資産税が6倍になる用地は、住宅一戸の敷地面積が200㎡以下の場合である。200㎡を超える敷地は3倍超え6倍未満でアップする。
  • 都市計画税(市街化区域にある土地に掛かる税金)も住宅用地の軽減措置を受けているので、同様にアップする。住宅一戸の敷地面積が200㎡以下は3倍で、200㎡を超える敷地は1.5倍を超え3倍未満でアップする。
  • 住宅用地の軽減措置の対象建物は住宅のみ。一方、改正空家対策特別措置法の対象建物は「建築物」であり、住宅だけでなく事務所、店舗、倉庫等も対象である。従って、住宅でない建物の用地は元々住宅用地の軽減措置を受けていないので、「管理不全空家等」や「特定空家等」になっても、固定資産税等が跳ね上がることはなく変化なし。
  • 「管理不全空家等」や「特定空家等」になったからと言って、行き成り固定資産税が跳ね上がることはない。まず指導等を受け、指導等で改善しなければ勧告を受けることになる。この勧告を受けて初めて住宅用地の軽減措置が受けれなくなり、税額がアップする。