ラグビーワールドカップ2019のロゴ

昨日、ラグビーワールドカップ(以下、「W杯」と言う。)の日本vsアイルランドが行われ、テレビ観戦した。試合状況によっては最後まで見ないつもりで見始めたが、試合終了時には凄く感動していた。ラグビーの知識が非常に乏しい私が技術的な意見を述べてもボロが出るだけなので、私のようなレベルの人向けの「ラグビーの初歩知識」を説明した上で、日本チームの偉業について感じたこと及びプレーの疑問について述べる。

ラグビーの初歩知識

ラグビーのルールはサッカーと違い難しそうなので、私自身が今だに理解する気になれない。そうは言っても、W杯は開催中なのでまだ観戦の機会があり、ラグビー専用の名称を多少なり知っているだけでも、プレー内容を理解できる部分が出てきて観戦がより楽しくなる。そこで、ここではラグビーの初歩知識として「ラグビーのルーツ」、「得点絡みの名称」、「勝ち点の仕組み」及び「ノーサイドのタイミング」について説明する。
なお、この初歩知識は後述の「日本チームの評価」及び「プレーの疑問」の文章を作成する上で、私自身が身に付ける必要があった知識であり、そのために調べた情報を纏めたものでもある。よって、私と同レベルの閲覧者であれば後述の文章を読む上でも役に立つ。

ラグビーのルーツ

ウェブ・エリス・カップ

「ラグビー」は英国中部の都市の名称である。
1823年、ラグビー都市のある学校で現在のラグビーとサッカーの元となるフットボールの試合が行われ、ボールを抱えてゴールまで駆け抜けた少年がいた。当時のフットボールのルールは手で捕球することはOKであったが、ボールを持ったまま走ることはNGであった。しかし、これが面白いとルールになり、手を使わないサッカーとは別にラグビーが生まれた。
この駆け抜けた少年の名前は「ウィリアム・ウェブ・エリス」で、W杯の優勝カップの名称「ウェブ・エリス・カップ」はここから来ている。

得点絡みの名称とその点数は次のとおりである。

トライ:5点
ボールを相手ゴールラインの向こう側のインゴールに持ち込み地面につけるか、インゴールに入ったボールを押さえ込むことでトライが成立する。
コンバージョンゴール:2点
トライが成立した時に行えるゴールキック(コンバージョンキック)※1で、トライした地点を通るタッチラインと平行線上の任意の地点からキックが可能。ボールが左右のゴールポスト間でクロスバーの上を通過すれば得点※2
ペナルティーゴール:3点
相手の反則により与えられるゴールキック(ペナルティーキック)※1で、ボールが左右のゴールポスト間でクロスバーの上を通過すれば得点※2
ドロップゴール:3点
プレー中に、ボールをワンバウンドさせて蹴るゴールキック(ドロップキック)※1で、左右のゴールポスト間でクロスバーの上を通過すれば得点※2
ペナルティートライ:7点
相手側の反則がなければ、間違いなくトライできたと判定された場合に与えられるトライ(「認定トライ」とも言う)。コンバージョンキックは行わず、得点はトライの5点分とコンバージョンゴールの2点分の計7点。
フィールド内の名称
ラグビーのフィールド内の名称

「ゴールキック」とは、コンバージョンキック、ペナルティーキック及びドロップキックの総称である。

ボールがゴールポストより高い位置を通過した場合は、ゴールポストの高さがもっと高ければ左右ゴールポスト間を通過していたとみなされれば得点となる。

W杯は、現在行われている「1次リーグ」とそこから勝ち上がったチームで戦う「決勝トーナメント」がある。前者は20チームが4組に分かれて総当たり戦を行い、後者は1次リーグの各組の上位2チームがベスト8として勝ち抜き戦を行う。
1次リーグの上位2チームは、勝率でなく「勝ち点」の総数で決定される。1試合で付与される勝ち点の内訳は次のとおり。
  • 勝ち:4点
  • 引分け:2点
  • 7点差以下の負け:1点(「ボーナスポイント」と言う)
  • 8点差以上の負け:0点
  • 4トライ以上:1点(「ボーナスポイント」と言い、勝敗に関係なく付与)
負けた場合でも、7点差以下でかつ4トライ以上であれば引分けと同じ勝ち点2を獲得できる。

ラグビーの試合時間は前半40分と後半40分の計80分となる。試合時間80分ちょうどでノーサイド※3になるとは限らない。と言うのは、後半40分に達した時にプレーが続いている場合は、そのプレーが反則以外で切れた時点でノーサイドになるからである。後半40分に達するとホーン音が鳴り、選手は「ラストワンプレー」であることを知る。
ノーサイドのタイミング、つまりプレーが切れるタイミングは、反則以外では、得点(トライの場合は、その後のコンバージョンキックも得点の対象)、ボールがタッチラインから外に出るなどが挙げられる。なので、ラストワンプレーになると、勝っているチームの選手がボールを奪うと、タッチラインの外へボールを蹴り出しノーサイドにするシーンを良く見かける(今回のアイルランド戦のように負けているチームの選手が行うこともあり)。
なお、前半40分の終了のタイミングも同様である。

ノーサイド(no side)とは試合終了のことである。試合が終了したら勝った側のサイド(side)も負けた側のサイド(side)も無く(no)同じ仲間だと言う精神に由来する。
なお、元々は海外で試合終了のことを「no side」と言っていたので日本でも「no side」と言うようになった。しかし、現在の海外では「full time」に変わっている。

日本チームの評価

前回英国で行われたのワールドカップでは、日本が当時世界ランキング3位の南アフリカを破り、「史上最大の番狂わせ」、「W杯史上、比類のない試合。世界に波紋を広げた」などと報道され、世界から「奇跡」と称賛(?)された。当時、それまでのW杯に於ける日本の成績は2引分けを挟んで16連敗中と散々の成績だったのでこのような表現の称賛になったのかもしれないが、テレビ中継を視聴した私はこれらの表現に違和感を持った。
私の主観かどうか分からないが、「奇跡」を使った称賛は、全く実力のないチームが神がかり的な幸運に恵まれて運よく勝ったような印象を持つ。日本選手は体格では海外の選手に劣るがスタミナがあり、試合内容は素人目から見てもラッキーな出来事が重なり得点を上げっていった訳でなく、互角の戦いの中で南アフリカより勝ちにこだわった日本が勝利を呼び込んだのは明らかであった。それなのに、日本チームの実力を余りにも低く評価しているように思え、称賛されていると素直に感じ取ることができなかった。
その一方で、日本の解説者から、「ラグビーは番狂わせが起き難いスポーツなので凄いことだ」と聞いていたので、勝つ確率は相当低かったと判断することが、当時の客観的な見方だったのだろう。

日本の勝利を決めた逆転トライ(南ア戦)
南アフリカ戦の日本の逆転トライ

今回日本が戦ったアイルランドはこの4年間の間にあのニュージーランドに2回勝ち、世界ランキング2位(W杯開催前は1位)であり、優勝候補と言われており、また過去の日本の対戦成績は日本が10戦全敗であり、勝利を得るのは厳しいと思われた。

試合経過に伴う得点の推移は次のとおりである。なお、得点となるゴール等の名称の意味については、前述の「得点絡みの名称」を参照されたし。
前半20分までに日本がペナルティーゴール1回を奪うも、アイルランドにトライを2回(+コンバージョンゴール1回)奪われ3対12となり、やはり評判どおり強いと感じた。時間と共に点差が開くように思え見るに耐えがたくなり、後は夜のスポーツニュースで結果を確認しようかなと思いつつも観戦していると、点差が開くどころか日本のペナルティーキックで点差が徐々に詰まって行き、序盤以降は流れが明らかに変わったと感じた。前半で日本がペナルティーゴールを3本決め、9対12の3点差で前半を終えた。
後半に入りピンチが何度かあるもアイルランドの攻撃に耐え点数を与えることがなく、その一方で後半13分に日本が初トライを決め、日本が逆転しコンバージョンゴールも奪い16対12となった。この時点で私は「アレ~、日本が勝つかもしれない」と思うようになり、テンションが上がりまくって行った。更に、後半21分にペナルティーキックを決め19対12と7点差に広げ、ラストワンプレーでアイルランド自らがボールをタッチラインの外に蹴り出すも、その当時の私はラストワンプレーに於いてノーサイドとなる要件すら分かっていなかったんで、その瞬間勝ったことが分からず、実況者がアイルランドのプレー自体に戸惑ったのか数秒の無言の後に「ボールが出た。日本が勝った!」と叫び、そこで状況を理解し「やったー」と歓声を挙げた。

ラストワンプレーに突入した時点の得点差は7点であり、アイルランドはトライ+コンバージョンゴールで引分けに持ち込める可能性も残っていた。にも関わらす、アイルランドはボーナスポイントの勝ち点1を確実に獲得するため自決の道を選んだ。格上のアイルランドが同点に持ち込むことより、日本に得点されることを恐れていたことが分かる。
相手チームは日本の実力をどう見ているかは、インタビューだとリップサービスが含まれるので良く分からないが、プレーにはリップサービスが含まれようがない。今回の自決行為は実際に戦ったアイルランド選手が日本の実力を認めていることを良く表わしていると思う。更に、試合の得点の推移をみても、序盤の3対12から、残りの長い時間で相手に1点も与えていなく、その上逆転している。このような展開は相当な実力がないとできるものでなく、世界トップレベルとかけ離れた差がないことを証明したと思う。

日本の逆転初トライ(アイルランド戦)
アイルランド戦の日本の初トライ
試合翌日となる今日の朝刊を読むことを楽しみにポストから取り出すと、1面にデカデカと印字された『日本大金星』の文字が目に入いり、ガッカリした。「金星」と言えば、大相撲で平幕の力士が神域にいる横綱に勝つことである。その上を指す「大金星」を使えば、悪意がなくても日本メディアが「奇跡」と認めているようなもので、なぜ日本チームに対しもっとリスペクトした表現を使わないのかと思ってしまう。また、この地元新聞の記事によると、海外メディアが「前回に続き再び奇跡を起こした」と称賛しているとのこと(他の日本の新聞はどのように扱っているのかは知らないが、おそらく同様なのだろう)。

試合後の日本選手がインタビューで「選手全員がこの勝利は必然だと思っている」旨を発言し、また田村選手は試合前にジェイミーヘッドコーチが次の俳句を詠んだことを明かし、その通りになったと発言している。

ジェイミーヘッドコーチ

No one thinks we can win.
(誰も我々が勝てると思っていない。)
No one thinks we can even come close.
(誰も接戦になるとすら思っていない。)
But no one knows how hard you’ve worked.
(どれだけ努力して来たか知らない。)
No one knows how many sacrifices you’ve made.
(どれだけのことを犠牲にして来たかも知らない。)
You know you’re ready.
(やるべき事は分かっている。)

舞台裏を暴露!
浜ちゃん

先生~

夏井先生

季語がなく、字余りがはなはだしい句を、ここまでリアリティーとオリジナリティーを持った表現で書けるってのは、大したもんだなぁと思います。
素晴らしいです! 本当に素晴らしい!
で、この様な5行も使ってアイルランド戦の決意だけを書くと...これ「一物仕立て※4」もどきと言うんですが、「一物仕立て」もどきも難し~んです。その難しい遣り方で決意を見事に描きました。
これ、ラグビー以外のスポーツで、この感覚を表現できるって、なっかなか無いと思うんです。そこがネ~やっぱり、この人は...真のラガーマンです~。いいと思います。
そして、あなたは本当に俳句の才能があります。

ジェイミーヘッドコーチ

Really? Ma’am!
(マジでか? 小母ちゃん!)

夏井先生

マジです!

浜ちゃん

先生、これはもう直しは無しで、いいんですか?

夏井先生

直しは、いりません。久々に期待の特待生だと思います。

ジェイミーヘッドコーチ

Oh my God! I can’t believe it!
(何てこった! 信じらんね~!)

梅沢富美男

ちょ、ちょっと待てよ! 夏ちゃん!
俳句の「は」の字も知らね~オッサンが昇格し、なんで私の句が現状維持だったんだよ!
おかしかねえか?
この番組の視聴率、誰でもっていると思ってんだぁ? 俺だよ。
Mr.プレバトが昇格していかないと、誰も見ないよ。
そんなことも分かんね~のか、この糞ババア

夏井先生

おっちゃん、ごたごた言ってると、1ランク降格にするよ!

梅沢富美男

...やめて、夏ちゃん(T_T)

「いちぶつじたて」あるいは「いちもつじたて」と読み、季語のみを描写する手法。なお、全ての俳句は次のどちらかに分けられる。
  • 「一物仕立て」:ある一つの事柄のみを詠み込んだ俳句
  • 「取り合わせ」:複数の要素の組み合わせによって作り上げた俳句
世界の中で、今回の勝利が奇跡でなく実力であると最も確信しているのは、日本選手とそのスタッフなのかもしれない。
メディアが前回W杯と変わらない表現で日本チームを評価する以上、私が不快に思わない状況を日本チームに作ってもらいたい。8強を目指すに留まらず、この勢いでウェブ・エリス・カップを受け取り、メディアをギャフンと言わせることができれば、メディアがどのような表現で称賛しようと快感である(大きく出過ぎかな?)。

プレーの疑問

観戦中はアイルランドがラストワンプレーで自決の道を選んだことに対し良く理解できなかったが、その後1次リーグの勝ち点制度を知り、アイルランドが勝ち点1を取りに行った行為自体は理解できた。どのチームも1次リーグでの目標は決勝トーナメントに進むことであり、実力のあるアイルランドにとっては今回日本に負けても、そのままズルズル脱落していくことは考えられなく、上位2位以上の争奪戦に絡んでくるのは明らかである。そうなると今回の勝ち点1は今後大きな意味を持ってくる可能性が非常に高く、勝ち点1の重要性を把握した。

私のラグビー知識の乏しさから来る疑問かもしれないが、勝ち点1の重要性を把握した上でもアイルランドが取った自決の道がベストの判断だったのか疑問を持つ。
アイルランド選手の立場になれば序盤以降、1点も取れていなかった状況を踏まえれば、このままプレイを継続してもワンプレイで今回の日本から得点(トライ)を取れる可能性は殆どないと感じていたと推測する。一方、日本を応援していた私はラストワンプレイでアイルランドがトライをしないか非常に恐れていた。ド素人の私の感情を参考にするのも適切でないのかもしれないが、プレーしていた日本選手も同様であったと推測する。

このような日本選手の心理状況の中、もしアイルランドがプレイを続けていたとして、日本がボールを奪った場合に日本選手はどのような行動を取ったのかを知りたい。つまり、ボールをタッチラインの外に蹴り出しプレイを切り確実に勝つことを選ぶのか、それともアイルランドに勝ち点1を与えないために危険をおかしてでも得点を狙いに行くのかと言うことである。
日本がボールを奪った時に、日本が安全に得点を狙える戦法(得点を狙いに行き、失敗した場合に確実にプレイを切れる戦法)があるのかは私には分からないが、そのような都合の良い戦法が無いのであれば次のように推測する。
日本チームの1次リーグの第一の目標が、アイルランドの決勝トーナメント阻止であれば、アイルランドに勝ち点1を与えないように得点を狙いに行くだろうが、自身の決勝トーナメント進出が唯一の目標であることは疑う余地がない。アイルランドの決勝トーナメント阻止する行動が間接的にアイルランド以外のどこかのチームの決勝トーナメント進出を後押する可能性は十分あるが、それが日本チームになるか否かは今後の展開次第である。そんな未知数のことに日本チームが危険をおかすとは考え難く、確実に勝ち点4を得るため即プレイを切ると推測する。

もし私の推測が正しいのであれば、アイルランドは自決せず、プレイを続け一か八か同点を狙うべきだったことになる。と言うのも、アイルランドの攻撃が失敗し日本にボールを奪われても、日本がプレイを切ってくれるので、アイルランドに勝ち点1が確実に入ることになるからである。

ド素人が超一流選手の判断に疑問を持つこと自体、身の程知らずであり見当外れの疑問なのかもしれない。しかし、このままモヤモヤ感を持ち続けることは嫌なので、リーチに会った時に日本選手はどちらを選ぶのかを聞いてみようと思う。ただ残念なことに、今のところ府中市のカフェ「Cafe+64」に行く予定がないので、近所にいる「にわか」でないラグビーファンを捜して聞くしかないなぁ~。

リーチ・マイケル 経営する「Cafe+64」 リーチ・マイケル?
リーチ・マイケル リーチ・マイケルが経営する「Cafe+64」 リーチ・マイケルの物まねをするレイザーラモンRG