虫眼鏡で上空から眺める金沢駅周辺

公示価格(「地価公示価格」又は「公示地価」とも言う。)とは、国土交通省が毎年3月に公表する、その年の1月1日時点に於ける全国の標準地(地価調査対象地点)の㎡単価である。一般の土地の取引価格に対する指標の役割を持つことから、公示価格の動向は気になる。
以下に、今年(2019年)と過去の公示価格を元に、地価の動向を日本全体の視点及び地元(石川県及びその周辺)の視点から分析すると共に、地価に影響を与える新幹線効果についても考えてみる。

なお、本記事で使用している矢印記号の意味は次のとおり。
 上昇: 公示価格が前年に比べ上昇
 下落: 公示価格が前年に比べ下落
 横ばい: 公示価格が前年と同じ

日本全体の動向

2019年1月1日時点の公示価格から見る地価動向は、次のとおりである。
全国の平均
全用途※1平均は4年連続上昇し、上昇幅も3年連続拡大し上昇基調を強めている。また、住宅地は2年連続上昇、商業地は4年連続上昇し、用途別で見ても上昇基調を強めている。
三大都市圏※2
三つのどの圏域でも、全用途平均、住宅地及び商業地に於いて上昇が継続し上昇基調を強めている。
地方圏※2
全用途平均、住宅地は27年ぶりに上昇に転じ、商業地は2年連続上昇し上昇基調を強めている。
地方圏の中で、地方4市(札幌、仙台、広島及び福岡)は全ての用途で上昇が継続し上昇基調を強めている。地方4市の上昇率は、全用途平均・住宅地・商業地のどれをとっても三大都市圏の平均を大きく上回っている点が目を引く。
一方、地方4市を除いた地域では、商業地が25年続いていた下落が横ばいになったものの、全用途平均・住宅地は相変わらず下落しているが、この数年の下落幅は毎年縮小している。

以上から日本全体の地価は上昇基調と言えるがその背景として、景気回復、低金利環境による住宅などの建築需要、訪日外国人増加に伴う不動産投資活性化、主要都市での再開発事業活性化の拡大が挙げられる。バブル時代に盛んであった転用目的の不動産取引と違い、経済活動の裏付けがある上昇であり、全体でみれば地価は今後も堅調に推移する可能性が高いと考える。

圏域等 全用途平均 住宅地 商業地
全国 1.2% 上昇 0.6% 上昇 2.8% 上昇
三大都市圏 2.0% 上昇 1.0% 上昇 5.1% 上昇
 東京圏 2.2% 上昇 1.3% 上昇 4.7% 上昇
 大阪圏 1.6% 上昇 0.3% 上昇 6.4% 上昇
 名古屋圏 2.1% 上昇 1.2% 上昇 4.7% 上昇
地方圏 0.4% 上昇 0.2% 上昇 1.0% 上昇
 地方4市 5.9% 上昇 4.4% 上昇 9.4% 上昇
 4市以外 0.2% 下落 0.2% 下落 0.0% 横ばい
※2019年の公示価格上昇率
※1 全用途

宅地(住宅地、商業地、準工業地、工業地、市街化調整区域内宅地)、宅地見込地すべて合わせた用途のこと。

※2 圏域の分類
圏域の分類と各圏域のエリアは次のとおりである。
東京圏
首都圏整備法で定める既成市街地と周辺の近郊整備地帯を含む市町村。東京都、神奈川県の大部分と茨木、埼玉及び千葉3県の東京寄りの地域。
大阪圏
近畿圏整備法で定める既成都市区域と近郊整備区域を含む市町村。大阪府全域と京都、兵庫及び奈良3府県の大阪寄りの地域。
名古屋圏
中部圏開発整備法で定める都市整備区域を含む市町村。愛知県の大部分と三重県の愛知寄りの地域。
三大都市圏
「東京圏」+「大阪圏」+「名古屋圏」の地域。
地方圏
三大都市圏を除く地域。

石川県の動向

以下に、石川県の最高上昇率地点の変化、及び市・郡別の地価動向について述べる。

最高上昇率地点

近年に於ける石川県の地価上昇率が最も高い地点は、金沢駅周辺であった。その大きな要因は北陸新幹線開業(2015年)によるものであり、金沢駅周辺は継続して高い伸びを示していた。しかし、今回の公示価格を見ると上昇率のトップは、(金沢市)片町2丁目の商業地で13.1%である。片町は金沢市最大の繁華街であるが、金沢駅から直線距離で2km強離れたところに位置する。この上昇率トップ地点の移動は、新幹線開業から5年目になり、不動産需要が金沢駅周辺から金沢の中心部に移動したことを示す。ただ、金沢駅周辺の広岡1丁目1-18(金沢駅より320m:公示価格3位)の上昇率は11.7%であり、新幹線開業時(その年の公示価格の上昇率は17.1%で上昇率は全国トップ、その翌年は31.2%)に比べると鈍化しているが、開業当初の上昇率を維持できる訳もなく、直近の3年間は上昇率11%台をキープしている状況を踏まえれば、不動産需要が駅周辺から中心部に移動したと言う表現より、需要の範囲が拡大していると言う表現が適切と考える。

市・郡別の地価変化

まず、石川県全体に於ける前年と比較ができる標準地(公示価格調査地点)の地価変化は、上昇が27地点増え過半数に、横ばいが16地点減り12%に、下落が11地点減り37%になった。石川県全体としては上昇基調にあることが分かる。
地価 今年 昨年
上昇 114地点(51%) 87地点(39%)
横ばい 26地点(12%) 42地点(19%)
下落 83地点(37%) 94地点(42%)
次に、市・郡別で地価変化を見てみる。地価が上昇しているところは、金沢市とその周辺(野々市市と河北郡)に集中し、上昇地点は石川県全体の87%(99/114地点)を占めている。
一方、石川県の北側の能登地方と南端の加賀市に於いては、上昇地点は全くなく下落地点が100%に近い割合を示す。今年が下落地点と言うことは、長年下落し続けていることを意味する。しかも能登地方に位置する輪島、珠洲、羽咋、穴水の市町村別平均変動率は、マイナス幅が拡大し、石川県全体の上昇基調とは相反する動向を示している。
また、小松市は(市町村合併により面積が小松市の2倍になった白山市に人口では負けているものの)石川県では金沢市に次ぐ栄えている市であり、7地点で上昇しているものの下落地点の割合は67%と金沢市周辺に比べ非常に大きい。

市・郡等 上昇 横ばい 下落
能登地方 0地点 1地点(3%) 31地点(97%)
河北郡 5地点(56%) 3地点(33%) 1地点(1%)
金沢市 83地点(79%) 14地点(13%) 8地点(8%)
野々市市 11地点(100%) 0地点 0地点
小松市 7地点(33%) 0地点 14地点(67%)
加賀市 0地点 0地点 9地点(100%)
※「能登地方」とは石川県の北側半分のことで、南側半分は「加賀地方」と言う。上記表の能登地方以外の市・郡は全て加賀地方に位置するが、全ての市・郡を記載している訳でない。
※「野々市市」と「河北郡」は、金沢市と隣接し、野々市市は南側、河北郡は北側に位置する。
※「小松市」は野々市市より更に南側に位置し、石川県では2番目に栄えた市である。
※「加賀市」は石川県の南端に位置し、小松市の南側に隣接する市である。

以上から、石川県は北陸新幹線効果もあり全体として上昇基調にあると言えるが、一方で金沢市周辺と能登地方や加賀市と言った離れた地域との間で二極化が鮮明になっている。
なお、北陸新幹線の終着駅は現在金沢駅であるが、2023年には福井県敦賀駅まで延伸され小松市と加賀市で新幹線駅ができ、いずれ新大阪駅まで延伸される。小松市や加賀市の新幹線駅が南加賀地方の地価上昇の牽引役になり、二極化の抑制に繋がることが期待される。

北陸新幹線効果

ここからは地価に影響を与える新幹線の効果について考えてみるが、まず予備知識として北陸とその周辺の新幹線開業時期等について述べておく。
石川県周辺の地域の総称として「北陸地方」と言うが、石川県とその両隣りの富山県と福井県を指す。更に「信越地方」(長野県と新潟県)を加えて「北陸信越地方」と言う。現在福井県を除いたこの4県の県庁所在地には新幹線駅があり、福井県に関しては北陸新幹線が敦賀駅まで延伸されると県庁所在地の福井市にも新幹線駅ができる。
北陸新幹線(東京駅ー金沢駅)は、1997年10月に高崎駅ー長野駅間が開業し、その後延伸され2015年3月に金沢駅間まで開業した状況である。一方、上越新幹線(東京駅ー新潟駅)は、1982年11月から既に開業しており、群馬県(高崎駅)からそのまま新潟県に入るので長野県は通らない。

駅前地価の動向

以下に、2015年に開業した北陸新幹線が通る(及び今後通る予定の)県庁所在地にある新幹線駅の駅前地価動向を現在駅前で最も高い地価の標準地を基に見てみる。

金沢駅前(新潟駅前と比較)

北陸新幹線の恩恵を最も受けているのは、終着駅の金沢駅周辺の地価であり、比較のため北陸新幹線と全く関係のない新潟駅前と比較する。
まず、新幹線効果が表れる以前の地価の動向は、金沢駅と新潟駅周辺は同じであり、次のとおりである。
バブルの崩壊により、1992年から地価上昇のパワーが急激に減退し、1994年頃から下落に転じ、その後下落が続き、2007年頃から回復しだすも、リーマン・ショック(2008年9月)により、翌年の2009年から上昇パワーが再び減退し、下落に転じて行く。なお、この時代の地価は、新潟は金沢より高かった。
その後は、北陸新幹線の開業を控える金沢と既に開業していた新潟とでは、地価動向は全く異なるものになる。
金沢は新幹線開業を見越して2012年に回復しだし、以後上昇し続けている、一方新潟は下落し続けることになるが、ようやく2018年から回復しだし今年(2019年)は上昇となる。現時点の地価を比較すると、金沢は新潟の1.89倍までになっている。今後の動向を推測すると、今年(2019年)の上昇率は、新潟が1.87%に対し、金沢が7.85%と新幹線効果がそれ程鈍化していなく、価格差は現在も広がっていて、数年の内に金沢が新潟の2倍を越えるは明らかである。仮に、新潟の上昇率が毎年2%とし、金沢の上昇率が2%になるまで毎年1.5%下落していったとすると、再来年で新潟の地価の2倍を超えることになる。
また、この両地点の価格差の状況は、バブル崩壊後の最安値の年からも見て取れる。金沢は2006年であるが、新潟は更に11年遅れの2017年である。同じ日本海側の地方都市でありながら、11年ものズレが現状の価格差になったとの見方もできる。

西暦 金沢駅前※3地価 新潟駅前※4地価 備考
1992年 1041万3223 円/坪 上昇 1322万3140 円/坪 上昇 両地点のバブル最高値
1993年 1041万3223 円/坪 横ばい 1322万3140 円/坪 横ばい
1994年 1041万3223 円/坪 横ばい 1170万2479 円/坪 下落
1995年 1008万2644 円/坪 下落 1051万2396 円/坪 下落
この間の両地点は 下落 が続く
2006年 178万5123 円/坪 横ばい 215万2066 円/坪 下落 バブル崩壊後最安値(金沢)
2007年 191万7355 円/坪 上昇 215万2066 円/坪 横ばい
2008年 214万8760 円/坪 上昇 224万7933 円/坪 上昇 リーマンショック(9月15日)
2009年 209万9173 円/坪 下落 224万7933 円/坪 横ばい
この間の両地点は 下落 が続く
2012年 183万4710 円/坪 横ばい 198万6776 円/坪 下落
2013年 195万0413 円/坪 上昇 187万7685 円/坪 下落 金沢が新潟超え
2014年 206万6115 円/坪 上昇 185万7851 円/坪 下落
2015年 224万7933 円/坪 上昇 183万4710 円/坪 下落 北陸新幹線開業(3月14日)
2016年 254万5454 円/坪 上昇 180万1652 円/坪 下落
2017年 290万9090 円/坪 上昇 176万8595 円/坪 下落 バブル崩壊後最安値(新潟)
2018年 315万7024 円/坪 上昇 176万8595 円/坪 横ばい
2019年 340万4958 円/坪 上昇 180万1652 円/坪 上昇 金沢が新潟の2倍弱に
※3 石川県金沢市本町2-16-16(金沢駅より250m)
※4 新潟県新潟市中央区東大通1-2-30(新潟駅より150m)

富山駅前

バブル崩壊から現在に至るまで地価の動向は金沢と全く同じである。バブル崩壊により下落が続き、2006年から回復しだすも、リーマンショックにより、再び下落しだす。その後も金沢と同様に新幹線効果より再び上昇している。金沢と違う点は、リーマンショック前及び新幹線効果の上昇率が金沢の方が明らかに高い傾向があり、今年の上昇率は金沢が7.85%、富山が2.81%で、富山の新幹線効果が相当鈍化している。一方、新潟と比較すると、現在新潟の地価の94%と新幹線効果により価格差は相当縮まっている。

西暦 富山駅前※5地価 備考
1992年 859万5041 円/坪 上昇 バブル最高値(地価は金沢の83%、新潟の65%)
この間は 下落 が続く
2007年 135万5371 円/坪 横ばい
2008年 142万1487 円/坪 上昇 リーマンショック(9月15日)
この間は 下落 が続く
2012年 127万2727 円/坪 下落 バブル崩壊後最安値(地価は金沢の69%、新潟の64%)
2013年 127万2727 円/坪 横ばい 地価回復の兆し
2014年 130万5785 円/坪 上昇
2015年 140万8264 円/坪 上昇 北陸新幹線開業(3月14日)
2016年 151万4049 円/坪 上昇
2017年 158万6776 円/坪 上昇
2018年 164万6280 円/坪 上昇
2019年 169万2561 円/坪 上昇 現在の地価は金沢の50%、新潟の94%
※5 富山県富山市桜町2-1-8(富山駅より290m)

福井駅前

福井駅前で現在最も地価の高い標準地の情報が2015年以降しかないので、2番目に高い駅前標準地の地価動向も参考にし総合的に判断した。
他県の駅前と同様に1992年のバブル最高値になり、その後下落している。リーマンショック直前に回復の兆しが見受けられるも、上記他県の駅前と違い地価が上昇することがないまま、リーマンショックにより下落率が再び拡大していった。現時点福井駅は新幹線が開通していないが、近い将来(2023年)新幹線駅になることから、それを見越し2014年頃から地価が回復しだし、以後上昇を続けている。今年は3.51%の上場率となり、富山の上昇率(2.81%)より高くなった。地価は5県の中で最下位であるが上昇率は金沢に次いで2位である。

西暦 福井駅前※6地価 備考
(2014年以前のデータ無し)
2015年 108万7603 円/坪    
2016年 109万4214 円/坪 上昇
2017年 110万7438 円/坪 上昇
2018年 113万0578 円/坪 上昇
2019年 117万0247 円/坪 上昇 年々上昇率が拡大し、今年は3.51%
※6 福井県福井市中央1-9-28(福井駅より300m)

長野駅前

長野駅前で現在最も地価の高い標準地の情報が2013年以降しかなので、他の長野駅前標準地の地価動向も参考にし総合的に判断した。
他県の駅前と同様に1992年のバブル最高値になり、その後下落している。福井駅と同様にリーマンショック直前に回復の兆しが見受けられるも、地価が上昇することがないまま、リーマンショックにより下落率が再び大きくなった。近年緩やかな回復の兆しが見受けられていたが、今年ようやく上昇に転じた。長野駅は、1997年に高崎駅ー長野駅間が先行開業し、既に東京駅まで新幹線を利用できていたため、2015年の金沢駅間の開業の効果が見受けられない。敢えて効果を言うなら、北陸地方から軽井沢のアクセスが向上したため、北陸の富裕層による軽井沢の不動産需要が増えたようだ。
この状況から推測すると、新幹線福井駅の開業を待たず、来年で福井駅に逆転されると思われる。

参考までに、高崎駅ー長野駅が先行開業した1997年前後の地価動向を調査してみたところ下落し続けていて、この頃も新幹線効果が見受けられない。1995年に下落幅が縮小しているので新幹線駅開業を見越し期待感から縮小したようにも見えるが、この年は長野駅前だけでなく、新潟駅、富山駅及び福井駅前でも縮小していることから、新幹線効果によるものでないと判断する。調査不足のため断言できないが、1995年はバブル崩壊後の地価暴落がある程度の落ち着きを見せ下落幅が縮小したものの、阪神・淡路段震災(1995年1月17日)が起き、株価暴落と共に再び地価の下落幅が拡大していったと考える(一般論として、株価と地価との間には論理的な因果関係はないが、両者の間にタイムラグが発生するため地価が株価を後追う形になるものの正の相関関係がある)。

西暦 長野駅前※7地価 備考
(2012年以前のデータ無し)
2013年 123万9669 円/坪    
2014年 118万6776 円/坪 下落
2015年 117万6859 円/坪 下落 長野ー金沢間が開業
2016年 117万6859 円/坪 横ばい
2017年 117万6859 円/坪 横ばい
2018年 117万6859 円/坪 横ばい
2019年 118万6776 円/坪 上昇 0.84 %上昇
※7 長野市大字南長野字石堂東沖1970番1外(長野駅より80m)

駅前地価の総括

以上から、新幹線駅が既に存在していた長野・新潟と新設された(又は新設される予定の)北陸3県の駅前地価動向を比べると、地域差はあるものの新設された県庁所在地の新幹線駅前地価は、開業の数年前から効果が現れだし、開業から4年経過した現時点までに相当な効果があったことが見て取れる。
北陸3県の県庁所在地の人口は、金沢市が46万人、富山市が41万人、福井市が26万人と金沢市が最も多いものの、新潟市の80万人弱と比べると遠く及ばない。にも関わらず、新幹線効果により地価が上昇していった金沢駅前が早い段階で新潟駅前を抜き、2倍近い差になって行った地価動向に、私自身が驚く。

北陸と北海道の比較

新幹線駅が新設されれば、どこでも新幹線効果が期待できるものでもない。と言うのも好調の北陸新幹線に比べ、1年遅れて開業した北海道新幹線(2016年に新青森駅ー新函館北斗駅が開業、札幌駅開業は2029年予定)が苦戦している話を耳にするからだ。
北海道新幹線は道庁所在地の札幌駅が開業していない状況なので、単純に比較できないものの、北陸に比べ苦戦している要因として、東京までの距離が挙げられる。距離は所要時間と料金に反映されるからで、東京駅までの所要時間と料金を比較すると次のとおりである。

東京駅ー新函館北斗駅(はやぶさ)
  • 所要時間:4時間強(4時間3分~4時間21分)
  • 料金:22,480円
東京駅ー金沢駅(かがやき)
  • 所要時間:2時間30分程度(2時間30分~2時間34分)
  • 料金:13,600円
東京駅ー新大阪駅(のぞみ)
  • 所要時間:2時間30分程度(2時間22分~2時間37分)
  • 料金:13,620円

上記比較から分かるように、北陸新幹線開業に伴い東京の人から見れば金沢は新幹線で大阪まで行くようなものになったことにより、首都圏の人にとって、北陸は移動し易い距離になったのは明らかである。また、石川県の人から見ても、開業前は大阪は時間的に気軽に行けるが、東京はそのような感覚でなかったが、開業後は大阪に行くような感覚に変わった。更に、東京との距離が縮まった感覚は日本人だけでなく、今起きているインバンドブームの需要を取込めている要因になっていると考える。
また、縮まった東京との距離が交通手段の選択に影響し、新幹線が旅客機に勝てる距離であることも北陸新幹線が好調の要因にもなっている。石川県ー東京都の主な交通手段として北陸新幹線と小松空港(石川県小松市)の羽田便があり、両者は競合関係にある。北陸新幹線開業に伴い、ドル箱でる小松ー羽田便の利用者が大幅に減少した実績があり、交通手段として新幹線がまさっていると考える人が多いことを裏付けた。

一方、北海道新幹線は、東京ー新函館北斗間が所要時間4時間を越え、料金も2万円を超えていてしまう。東京駅ー函館駅までの移動を旅客機と新幹線で比べた場合、駅から空港までの移動時間や登場手続き時間を考慮しても旅客機の方が速く、料金に関しても早期購入割引を使えば旅客機の方が安くなる状況であり、新幹線にとって厳しい状況である。
なお、現在の新幹線所要時間で考えると、札幌駅までの所要時間は5時間を超えると見るべきだが、現状を改善し東京ー札幌間は4時間30分になる予定のようだ。

新幹線効果により不動産の需要も高まり地価に影響を与えるが、北海道新幹線と比較してみると北陸新幹線が好調なのは、北陸と大都市との距離が新幹線利用に適したものであることが大きいと考える。北陸新幹線は現在金沢駅が終着駅であるが、最終的には新大阪駅まで延伸される。そうなると、首都圏だけでなく、近畿圏の主要都市と新幹線で往来できるようになり、更に利便性が向上し、地価上昇が期待できる。その反面、現状の二極化の問題に対し、何も対策を講じなければ能登地方を中心とした二極化の拡大が懸念される。