賃貸物件を借りるとなると契約時に借主が用意しなければならないお金(初期費用)には、前家賃の1カ月分とは別に敷金と礼金がある。
敷金とは、賃料や借主の過失による修繕費等の債務を担保するために、契約時に借主が貸主に支払うお金である。従って、解約時に債務を清算し残金が借主に返還される。
一方礼金とは、契約時に借主が貸主に支払う一時金であり、貸主へのお礼意味合いもある。従って、解約時は一銭も戻ってこない。

私が不動産業を始めたころの居住物件では、敷金は月額賃料の2ヶ月分で、礼金は月額賃料の1ヶ月分が圧倒的に多く、中には礼金を2ヶ月分を取る物件も少なくなかった。しかし、昨今の傾向は、敷金・礼金の相場が下がっている。ただ、感覚的に下がっていることは分っていても、具体的に調査したことがなかったので、この機会に私が住んでいる石川県小松市の状況を調査(2015年12月実施)してみたところ、次のとおりであった。

貸家(全47件)
敷金右矢印平均:2.04ヶ月
  • 無し : 0件( 0%)
  • 1ヶ月: 2件( 4.3%)
  • 2ヶ月:41件(87.2%)
  • 3ヶ月: 4件( 8.5%)
礼金右矢印平均:0.68ヶ月
  • 無し :22件(46.8%)
  • 1ヶ月:18件(38.3%)
  • 2ヶ月: 7件(14.9%)
アパート・マンション【賃料5万円未満】(全242件)
敷金右矢印平均:1.52ヶ月
  • 無し : 35件(14.5%)
  • 1ヶ月: 49件(20.2%)
  • 2ヶ月:156件(64.5%)
  • 3ヶ月:  2件( 0.8%)
礼金右矢印平均:0.16ヶ月
  • 無し :203件(83.9%)
  • 1ヶ月: 39件(16.1%)
  • 2ヶ月:  0件( 0%)
アパート・マンション【賃料5万円以上】(全79件)
敷金右矢印平均:1.89ヶ月
  • 無し : 2件( 2.5%)
  • 1ヶ月: 5件( 6.3%)
  • 2ヶ月:72件(91.2%)
礼金右矢印平均:0.35ヶ月
  • 無し :54件(68.4%)
  • 1ヶ月:22件(27.8%)
  • 2ヶ月: 3件( 3.8%)
店舗・事務所(全70件)
敷金右矢印平均:1.99ヶ月
  •  無し :17件(24.3%)
  •  1ヶ月: 2件( 2.9%)
  •  2ヶ月:31件(44.3%)
  •  3ヶ月:16件(22.9%)
  •  5ヶ月: 1件( 1.4%)
  •  6ヶ月: 2件( 2.9%)
  • 10ヶ月: 1件( 1.4%)
礼金右矢印平均:0.46ヶ月
  • 無し :39件(55.7%)
  • 1ヶ月:30件(42.9%)
  • 2ヶ月: 1件( 1.4%)
倉庫・工場(全14件)
敷金右矢印平均:2.36ヶ月
  • 無し :0件( 0%)
  • 1ヶ月:1件( 7.1%)
  • 2ヶ月:7件(50.0%)
  • 3ヶ月:6件(42.9%)
礼金右矢印平均:0.26ヶ月
  • 無し :10件(71.4%)
  • 1ヶ月: 4件(28.6%)
  • 2ヶ月: 0件( 0%)
駐車場(青空22件、ガレージ2件、全24件)
敷金右矢印平均:0.42ヶ月
  • 無し :17件(70.8%)
  • 1ヶ月: 4件(16.7%)
  • 2ヶ月: 3件(12.5%)
礼金右矢印平均:0ヶ月
  • 無し :24件(100%)
土地(全6件)
敷金右矢印平均:2.17ヶ月
  • 無し :0件( 0%)
  • 1ヶ月:1件(16.7%)
  • 2ヶ月:3件(50.0%)
  • 3ヶ月:2件(33.3%)
礼金右矢印平均:0.83ヶ月
  • 無し :1件(16.7%)
  • 1ヶ月:5件(83.3%)

以上の調査から、考察・所見を述べる。

礼金に関しては、貸物件の種類で差があるものの、どの種類の物件でも礼金の平均が賃料の1ヶ月分を大幅に下回り、礼金無しの物件がとしゅつして多くなっている(貸土地を除く)。
アパート・マンションについては、賃料5万円以上か否かで分けて調査してみたが、賃料が安い物件の方が上記の傾向が明らかに強くなっている。賃料が安くなる要因は、間取りが小さいか、古い物件かであるが、上記の傾向は古い物件が多いからだと判断する。と言うのも、古い物件は入居率が低いため、借主の初期費用を下げ入居率を上げる意図があって、礼金を無しの割合が多くなっていると考えるからである。そう意味では、調査は賃料だけでなく、築年数で分けるべきであった。

なお貸土地は、礼金1ヶ月が83.3%と礼金を取るところが以外に多かった。この要因は貸土地固有のものと考え難く、考えれれる要因としては、事例数が6件と少なかったので貸土地の実態を正確に反映していない可能性がある。もしかしたら、貸土地を募集するに当たって、他の貸土地は礼金1ヶ月取っているので、それに合わせて礼金1ヶ月で募集し、現時点の小松市ではたまたま礼金1ヶ月の物件の割合いが多くなっている可能性がある。

敷金に関しては、敷金の性質上、入居率を上げたいからと言って敷金を下げ難い面がある。従って、物件の種類に関係なく概ね賃料の2ヶ月であり、昔と変わっていない(但し、青空駐車場は、敷金を取っていないが、昔からで例外的な物件)。
ただ、賃料5万円未満のアパート・マンションでは、敷金の平均が1.52ヶ月と下がっている傾向が見て取れる。この要因としては、入居率の低い物件は既に礼金無しをしているが、更に入居者の初期費用の負担を下げるためか、あるいは保証会社の加入を義務付け、貸主のリスク軽減を図っているから、敷金を下げているだと考える。

なお、相場には地域差があるので、あくまで石川県小松市の調査であることを踏まえてみてもらいたい。
また参考までに、同じ日本でも大阪など西日本の一部の地域では、「敷金」と「礼金」に代わる慣習として、「保証金」と「敷引き」がある。「保証金」が「敷金」+「礼金」に相当し、「敷引き」が「礼金」に相当する。つまり、借主は契約時に「保証金」を支払い、解約時に「保証金」-「敷引き」-「修繕費」ー「家賃滞納額」が返還される。